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zoom RSS ケルン旅行記

<<   作成日時 : 2009/09/16 16:47   >>

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画像Symphonic Fantasiesは9月11日と12日、ドイツのケルン市で開催されたコンサート。スクウェアエニックスの旧作である「ファイナルファンタジー」「クロノトリガー/クロス」「聖剣伝説2」「キングダムハーツ」の音楽を、それぞれの作曲者を招き、ケルンWDR交響楽団が新しいアレンジで演奏するという豪華な試み。で、ドイツを訪れるのは二度目なわけです。前回はもう十数年前、奇縁ながらスクウェアエニックスの社員旅行で、フランクフルトからミュンヘンまで美しい城や街を見ながらバス旅行したのが最初。その時は11月だったんで、雪まで降って大変だったけど、今回は9月ということもあって気候も暖かく、というよりは暑いね。昼間凄い暑くて夜はいきなり寒い不思議な国だね、ドイツは。(笑)成田から飛行機で12時間かけてフランクフルト国際空港まで。到着したのは9月10日。飛行機の中で2回食事して映画3本見たよ。「天使と悪魔」。ダン・ブラウンの原作をなかなか上手く消化してて。いや映画の話じゃなくて、あれだ、ケルンだ。フランクフルトからケルンまでは、なんか新幹線みたいなので1時間。その調子でブリュッセルとかパリとかにも行けるのがヨーロッパの面白いとこだね。

画像で、ケルンに着いたらとにかく大聖堂の存在感が圧倒的で凄いんだけど、それよりむしろ、今回のコンサートの主催であるベッカー夫妻が駅に迎えに来てくれているということにビックリ。聞くところ、コンサートのマネージメントから来客の世話まで、全て2人でやっておられるという大車輪ぶり。アメリカのイベントなどで、大勢が手分けしてチームワークでこなすのを見慣れているものだから、この家庭的なスタイルには本当に驚きました。

画像ホテル到着後、僕等ゲストはご夫妻の心遣いで素敵な部屋を取ってもらっていたので、挨拶もそこそこに部屋にこもって爆睡。さすがに12時間のフライトは厳しいね。ベッドに倒れこんだまま、翌朝のミーティング時間まで眠り続けて、朝食も食わなかったよ。(笑)ミーティングでは、長らくご無沙汰していた植松さんや光田下村両氏に会って、本当に懐かしい思い。雑談方々、昔話や知り合いの消息、昨今の仕事振りやゲーム業界の景気の話など、尽きない尽きない。そのままバスでオーバーハウゼンという近郊都市に向かって、アイスホッケー用リンクで行われる11日のコンサートのリハーサルを見学。実は、今回のコンサートで楽曲にどういうアレンジが為されるか、事前にまったく聞いていなかったので、その内容を知るのはこれが最初。馬鹿でかいアイスホッケーリンクを仕切って設えられた舞台に、ギッシリと並ぶオーケストラ団員の人達。こんな大編成で演奏するなんてこれもビックリ。

画像編曲の人は、Jonne Valtonenというフィンランドの人。僕はぜんぜん知らないんだけど、ヨーロッパでゲーム音楽を作っていて、オーケストレーションを含めて10年以上頑張っている、錚々たる経歴の持ち主らしい。音合わせを経て、指揮者のArnie Roth氏の段取りで演奏が始まり、お手並み拝見という風情でリハーサルを見守る作曲者4人。自分が作った曲のアレンジに対して、どういう感想を持ったかは、それぞれ自身にしかわからないけど、どの曲も丁寧な音使いとゲームらしい遊び心が光る、編曲者の熱意とセンスが感じられる良い作品だった。ただ、僕が今回のSecret of Manaのオーケストラアレンジに対して抱いた感想は、これはちょっと無茶だなと。(笑)編曲者がゲーム音楽経験者ということもあり、聖剣伝説2の持つ自然を中心としたファンタジー観や、その先進性や実験的精神をアレンジに取り込もうとした斬新で素敵なアレンジなのはもちろん素晴らしいけど、それにしてもこれは難曲、演奏するのが困難なほどの凝りに凝ったアレンジ。日本で、何回もオーケストラによる録音の現場を見てきた僕には、正直これがまともに演奏できるとは思えない難易度の高さで、どうするんだろうと少々面喰らい、リハーサル後にあれこれ話を聞いていると、これまたビックリ。普通、オーケストラというものは人数が多い関係で、時間に比してコストが高いので、コンサートとか開く場合も満足にリハーサルの時間が取れないのが常で、スタジオ録音などでは初見ということも度々あるのだが、今回はなんとリハーサルに一週間以上費やしているとのこと。練習に練習を重ねて仕上げるクラシックの演奏ならともかく、ゲーム音楽のオーケストラアレンジにそこまで綿密な準備をするなんて聞いたことが無い。まさに夢のような環境で行われるコンサートだと感心することしきり。

画像翌11日は午前中に、取材に来ていた海外のゲーム音楽サイトのインタビューを受け、その後ケルンの街に出て大聖堂を見学。僕はゴシック様式の建築が好きなんだけども、ケルン大聖堂はその代表格。これほど圧倒的な存在感をもつ大聖堂も、他に無いんじゃないかな。地面から突然垂直に伸び上がって、天まで届く感じ。でね、その天まで届きそうな尖塔の天辺まで登れるわけです。階段で。(笑)人がようやく擦違えるぐらいの狭い細い螺旋階段が、何気なく地面から始まっていて、そのまま高さ157メートルの尖塔の上まで続き、全部で509段あるらしい。おばあちゃんもおじいちゃんも子供も若者もみんなそれをニコニコして登るのだけど、もう半分ぐらいで眩暈がしてきます。もちろん息切れも。油断してると死ぬ。(笑)天気に恵まれたおかげで尖塔の上は本当に見晴らしが良くて、気持ちが良い眺めだったけど、一気に登って汗びっしょりでそれどころじゃないよ。降りるは降りるでまた、膝に力が入らないし、これは凄い体験だった。(笑)午後からオーバーハウゼンの街に向かい、近くのショッピングモールで簡単に食事をして、コンサートに備える。

画像で、その時食ったドイツ風のハンバーガーが良くなかったみたいで、体調が悪くなっちゃった。なんかミンチ肉を焼きました風で、味もあまり好みではなかったし、実に残念。おかげでコンサートの内容にも集中できず、あまり耳に入らなかったけど、お客さんの盛り上がりと、ゲーム音楽を楽しむ情熱は伝わってきた。特に、アンコールのメドレーで片翼の天使のメロディーが流れた瞬間に巻き起こった拍手、熱狂的な声援は、とても印象に深かった。凄いんだこれが。植松さんや、その作品や、ゲームに対する愛情が溢れていて、なんだかこう、魂に響くような声援だった。

画像一晩寝て12日。体調も良くなったので、反省と、あまり妙なものを食わないように注意しつつ、ケルン観光ということでホテルの近くにあるリンツ=インホフ チョコレート博物館に。でも、リンツってスイスのメーカーなんだよね、不思議。ライン川沿いの出島のような桟橋のようなところにある、小さい城のような建物。一見すると地味で人気の無い寂れた博物館のようだけど、中身は濃かった。そんなに要らないだろうというくらい、チョコレートに関する薀蓄と資料が満載。また、そこにある洒落たカフェで食べたガトー・ノワール(チョコレートケーキ)が絶品。スイスのチョコレートって、ベルギーに比べて洗練されてなくて、あまり美味しくないってイメージがあったけど、見直しました。これは美味い。ホテルに戻る途中に偶然植松さんと会って、フランスから来たファンの人達と写真を撮ったりしつつ、夜のコンサート本番へ。

画像二日目の会場は、ケルンのシンフォニーホール。昨日のアイスホッケーリンクとは品格も音響設備も雲泥の差。オーケストラの人達も、昨日のはリハーサルだって言ってたくらい、今日は気合の入れ方が違うらしい。みんな集まって準備を整え、会場入りすると、もうギッシリとお客さんが。って、これは手に手にCDだのゲームソフトだの持ってサイン会に参加する人達。普通は、お客さんと談笑しながら、コミュニケーション取りつつな感じなんだけど、この日はあまりにも数が多くて、もうひたすら流れ作業で書くしかない状況。4人で息を合わせて、なにを書いているんか分からなくなるくらい書いた。多分1時間以上やってたんじゃないかな。そしてほとんど休む暇も無く、そのままコンサートに雪崩れ込んで、気がついたら開演時間。司会者のドイツ語はぜんぜん分からないが、会場の熱気が只事でないのは分かる。指揮者Arnie Roth氏の登場、オープニングテーマの演奏、そしてキングダムハーツと下村女史の紹介。そこから先は、youtubeにいっぱい動画が上がっているので、見てもらえば多少は伝わるかと思う。(でも、残念ながらyoutubeのムービーの音は、少しバランスが違っていて、会場で聞いたあの完璧な感じが再現されていないのを言い添えておきたい)正直言って、まさに夢のようだった。昨日までとは次元の違う演奏の冴え、勢いと熱、そしてなにより、演じる者と聴く者が一体となって音楽を作り上げているという空気。いままで、部品だけしか見ていなかったものが、ちゃんと組みあがって完成形になるのを見たような。ああそうか、こういうことだったのだ、と手を打つ。曲が終わる、万雷の拍手。いい感じだ。みんな音楽を楽しんでる。僕の名前が呼ばれて声援に応える、曲が始まる。地鳴りのような不思議な太鼓の響き。ペンデレッキ風の弦楽。コーラスの人達の生み出す自然音。と、数秒して植松さんがこっちを見て言った。「菊ちゃん、これは凄いよ!」。いやもうまったくその通りで、僕は言葉も無かった。植松さんはリハーサルの時から今回のSecret of Manaのアレンジを気に入ってくれていて、学生時代にピンクフロイドの原始心母を聞いたことなどを重ね合わせ、プログレッシブロックを聞いたころの感動を思い出すとのことで、僕もそれには同感だったのだが、二日目の演奏を聴くまで、それがどういう地平を目指し、どういう意味を持つのか、理解していなかった。いや、編曲したJonne Valtonen氏を含め、理想として思い描いたとしても、誰も本当には理解していなかったに違いない。でも、こうやって形になった今は分かる。これは凄いことが起きたのだ。今回のコンサート全てを通して、今までに無い試みや、実験的精神や、それを不断の努力によって実現に導こうとする、信念に貫かれている。演奏が終わり、インターミッションで楽屋に戻ると、スタッフみんな、もう全部終わって成功したかのような盛り上がり。ケルン名物ケルシュビールは回ってきちゃうし、飲んじゃうし美味いし。そのままコンサート後半に突入して、大胆にパーカッションをフィーチャーした光田氏のクロノトリガーの勢いある素敵なアレンジに客席は大喜びで、植松さんの名前が呼ばれた時には会場割れんばかりの大拍手。演奏が始まれば、ファイナルファンタジーのアレンジの中に繰り返し繰り返し出てくるチョコボのテーマに笑いで応える聴衆。そしてクライマックス。アンコールの大歓声。ラスボス曲を中心にしたメドレー。スタンディングオベーション。鳴り止まない拍手、拍手、拍手。いやもうこれは大成功でしょう。なにより、こんな素晴らしいコンサートを実現させた、ベッカー夫妻に拍手喝采。

画像熱狂したファンの子が数人、ガードを潜り抜けて楽屋に入ってきちゃって、植松さんと写真を取りまくるというハプニングを挿みつつ、幕後の打ち上げでも、関係者一同、良く飲み、良く語り、良く笑った。既存のスタイルとはまったく違うし、良い点や悪い点、考えればいろいろあるけども、ゲーム音楽のコンサートというものが、ひとつ上の次元に到達したことは誰の目にも明らか。とにかく、ああでなくてはいけないこうでなくてはいけないという、批評的枠組みから離れて、大昔のプログレッシブロックの奔放さに学び、さらには、ゲームというものが本来持っていたチャレンジする自由な精神と、それこそ遊びであるという屈託の無さを取り戻せたことは、なにより得がたい収穫だと思う。興奮冷めやらず、みんなで話しながらのコンサートホールからの帰り道、「これは新しい現代音楽なんじゃないか」と言った光田氏の言葉が心に残った。









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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
 コンサートお疲れ様でした。
自分は今、youtubeと喧嘩中なので、
コンサートが見れません。
行きたかったなぁ。
間人
2009/09/16 18:42
詳細なレポありがとうございます!

ただただ凄い…としか言えないです。
びす
2009/09/16 22:46
こんな素晴らしい企画を運営した関係者の方々はすごいですね!菊田さんをはじめ作曲者の素晴らしい作品があってこそだとは思いますが、それにしてもこんなことが海外で行われたことを考えるとただただ驚嘆です。「少年は荒野をめざす」が聞けて嬉しいです!「予感」とか「呪術師」あたりをやったこともビックリでした!詳細なレポートをあげてくれてどうもありがとうございます。菊田さんの嬉しさが伝わってきます。
nordoa
2009/09/17 21:18
新しい現代音楽と言わしめた光田さんの言葉には同感です。ただでさえゲーム音楽の領域を超えている聖剣伝説2の音楽がさらに高みへ昇った印象がありました。(もちろん他の作品もそうですが特にずば抜けて聖剣が素晴らしく感じました)
初めて原始心母を聴いた時の感覚というのも納得出来ます。クラシックでも映画サントラでもない、新しい音楽を聴いた感覚、というよりは言葉に出来ませんが音楽を聴いて久方ぶりにただただテンションが上がりワクワクしました。昨今ではこのようなエキサイティングな感覚になることが少ないのでこの音楽が自分の中の感覚を超えたものだということが分かります。
ベッカー夫妻のエピソードやリハに一週間以上という話も脱帽です。ゲーム音楽が初の試みということにも驚きました。いつの日か来日して下さることを願いつつ。
余談ですがblogの写真でさえ菊田さんのセンスを感じます。(笑)
さつ村
2009/09/23 16:11
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